不動産投資に活かす行動経済学の知識


はじめに

「行動経済学」という名前の学問を聞いたことがあるでしょうか?
行動経済学とは、認知心理学や社会心理学の知見を利用して、人間の経済的な行動を研究する分野です。
伝統的なミクロ経済学では、人間というものは、自分の利益を最大化するために、常に合理的な選択をする生き物であると想定されてきました。
しかし、行動経済学の研究によれば、人間はそのような生き物ではないことが示されています。
今回は、不動産投資に活かすことのできる行動経済学の知見をいくつか紹介します。

フレーミング効果

例えば、コップに入ったビールを、「もう半分しかない」というのと「まだ半分ある」というのでは印象が異なりますよね。
フレーミング効果とは、このように表現の仕方を変えることで、主観的な価値が変わり、意思決定に影響を与える現象のことをいいます。
不動産投資の場合でいえば、例えば、繁華街にあって閑静という点で難があるような物件を保有している場合でも「市街地にあって買物や飲食に便利」というふうに表現を変えてみると、魅力的なアピールになったりするわけです。

サンクコスト効果

サンクコストは、日本語では「埋没費用」と呼ばれ、すでに使ってしまって取り戻すことのできないコストのことをいいます。
すでに取り戻すことができないのですから、サンクコストのことは考えず、今後の利益だけを考えるのが、実は合理的な判断です。
しかし人間は、それまでにかかったコストが大きい場合にそれを惜しみ、さらに不合理な投資を継続してしまう傾向があるのです。
これをサンクコスト効果と呼びます。
不動産投資の場合でいえば、金融機関との融資交渉や物件の価格交渉に多大な労力や時間、費用などのコストをかけたにも関わらず、思うような金利や価格が引き出せなかった場合に、そのコストを惜しみ、高い金利や価格で妥協してしまうケースなどがあげられるでしょう。
このような妥協は、経済的に非合理な行動であることを覚えておきましょう。

損失回避性

人間は、同じ価値のものであっても、それを得ることによる満足よりも、失うことによって被る不満足のほうが大きく感じやすく、そのため損失の回避をより優先する傾向があります。
これを損失回避性と呼び、有名なプロスペクト理論によっても説明されます(ちなみに、よくいわれるように「プロスペクト理論=損失回避性」ではありません)。
不動産投資の場合ですと、空室にともなう損失の回避を優先するあまり、「満室保証」などの言葉に影響されてサブリース契約をしてしまい、結果的に利益を減らしてしまうケースなどが損失回避性にあたります。

最後に

以上のような、「認知のゆがみ」ともいえる人間の非合理的な行動傾向を防ぐには、まずそれについてよく知っておき、自分自身がそのような傾向にはまっていないかどうかをチェックする習慣を持つことが大切です。
今回紹介したもの以外にも、不動産投資に役立つ行動経済学の知見はまだいくつか存在しています。
ぜひ、ご自分でも勉強されて、「利益を最大化する」合理的な不動産投資を目指してください。