不動産投資の「収益認識に関する会計基準」について


はじめに

従来、日本においては収益認識についての総合的な会計基準は存在していませんでした。企業会計原則(損益計算書原則)の中で「売上高は、実現主義の原則に従って商品やサービスを提供して得たものに限定する」というような内容が記されているのみだったのです。
しかし、国際会計基準審議会(IASB)によって2014年4月に公表された国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」をもとに、「収益認識に関する会計基準」が2018年3月30日に財務会計基準機構(企業会計基準委員会)から公表され、2021年4月以降より適用されることになりました。
そこで今回は、公表された「収益認識に関する会計基準」で収益を認識するために必要な5つの段階を見ていきたいと思います。

収益を認識するのに必要な5つの段階

「収益認識に関する会計基準」に従う場合、「顧客との契約から生まれた収益」(不動産投資の場合なら家賃収入など)は、次の5つの段階を経てはじめて「収益」(売上高)として認識され、記帳されることになります。

1.契約の識別

収益と認識されるためには、その収益が以下の条件を満たす契約から発生したものである必要があります。

・それぞれの当事者が書面や口頭、慣行などによって契約を承認しており、義務を履行することを約束している。
・それぞれの当事者の権利がはっきりと識別できる。
・支払い条件がはっきりと識別できる。
・契約に経済的な実態が存在している。
・高い可能性で対価を回収できる。

2.履行義務の識別

どのような義務を履行すべきなのかが契約の中にはっきりと含まれているかどうかを識別できる必要があります。

3.取引価格の算定

契約に基づく取引の中で、財やサービスをお客さんに提供する対価として得られる金額を算定しなければなりません。

4.取引価格の履行義務への配分

算定した取引価格は、履行すべき義務に含まれ提供される財やサービスのうち、どの部分にどれくらいの額が該当するのか配分する必要があります。

5.履行義務の充足による収益の認識

履行すべき義務に含まれる財やサービスを提供する(義務を果たす)ごとに、配分した額を収益として認識します。

最後に

現在のところ、強制的に適用の対象とされるのは一部上場企業などの大企業のみですが、同じ国の中に新しい制度と旧来の制度が併存している状況は整合性の面で問題があります。
そのため今後は中小零細企業の収益認識基準も同内容に改められるという予想があります。
そうなってくると、法人化して不動産投資を行っている人なども無関係な話ではなくなってきます。
したがって、法人として不動産投資を行っている人は、すぐに具体的な対応はとる必要がないにしても、大まかな内容程度の知識は得ておいたほうが良いでしょう。