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2019年7月2日
「自らの利益を最も大きくするために、いつでも最適(合理的)な選択をする生き物」
これが伝統的な経済学における人間像でした。
しかし、さまざまな研究によって、実際の人間が行っている選択は、常にそのような最適なものになっているわけではない事が分かってきています。
このような人間の経済的行動を心理学的側面から研究しようとする学問は「行動経済学」と呼ばれており、この領域からはハーバート・サイモン(1978年)、ダニエル・カーネマン(2002年)、リチャード・セイラー(2017年)という3人のノーベル経済学賞受賞者が輩出されています。
今回は、この行動経済学の中でも代表的な理論であり、投資家の間でも名前がよく知られているプロスペクト理論について見ていくことにしましょう。
プロスペクト理論を提唱したのは、イスラエル生まれのエイモス・トヴェルスキーと先ほども名前が出てきた同じくイスラエル生まれのダニエル・カーネマンです。
プロスペクト理論の中心になるのは「価値関数」と「確率加重関数」です。
価値関数は縦軸を主観的な価値、横軸を客観的な価値(どちらとも原点より上もしくは右が利益で、下もしくは左が損失)としたグラフ上に描かれます。
特徴的なのは関数を描く曲線の勾配で、値の小さな原点の近くでは急勾配であるのに、原点から離れる(値が大きくなる)につれて緩やかになっていき、これは感応度逓減性と呼ばれています。
例をあげるとするなら、「0円と1万円の差」と「100万円と101万円の差」は、同じ1万円の差であっても主観的には異なっていて、前者のほうが大きく感じられるということですね。
また、その勾配は利益部分よりも損失部分のほうが急になっています。
つまり同じ金額であっても、主観的には利益よりも損失のほうが大きく感じられるということです。
このため一般的に人間は、利益を得ることよりも損失を回避する方向を選択しやすいと考えられています。
不動産投資の場合でいうなら、空室リスクによる損失を回避しようとして自分で管理したほうが、利益が大きくなるのに、「満室保証」などのキャッチフレーズに影響されてサブリース契約をしてしまう場合などが当てはまるでしょう。
確率加重関数についても、簡単に見ておきましょう。
ここからわかるのは、人間は客観的な確率が高いことについては、主観的にその確率を低く想定する傾向があり、一方で客観的な確率が低いことについては、主観的にその確率を高く想定する傾向があるということです。
投資の場合でいうなら、利益を得られる可能性が低い案件の投資成功率を過大評価したり、起こる確率の高いリスクを必要以上に心配したりする一方で、起こりえる可能性がそれなりに高いリスクの発生確率は低く想定し、対策を怠るといったことが生じやすいということです。
不動産投資においても、ご自分の選択が合理的で最適なものになっているか、または価値関数や確率加重関数の理論でいわれるようにアンバランスなものになっていないか、今回の記事を参考にしながらぜひチェックしてみてください。